地を這う祈り
「地を這う祈り」 石井光太 著
世界中の貧困層の姿を、ストレートな文章と写真で綴っていくノンフィクション。
著者はまだ34歳くらいと若いが、芯が通っていて文章もシンプルで洗練されていて、とても読みやすい。
そのへんのマスゴミよりもよっぽどジャーナリズムの精神を感じる。
ただ、内容は非常にショッキングなので読み進めるのが辛くなる。
しかし、多くの人に読んでもらいたい本。
マフィアがどこかで誘拐してきた子供をレンタルして物乞いをさせ、生きていくお金を得る人々。
中絶された胎児が次々ゴミ置き場に捨てられ、それを野良犬が食べる風景。
飢えてやせ細った売春婦が下半身を顕わに路上で死んでいる写真。
まともな食事よりもシンナーを吸ったり新聞紙を食べるほうを好む子供たち。
日本とはかけ離れたリアルな描写が、ストレートに続きます。
著者は「絶えず答えのない問題を提起する人間でありたい」と記している。
こういう本を読むと、とりあえず「色々と考えさせられる」と楽に締めくくりたくなりますが、このバカ頭がいくら考えてもどうしようもない、求められているのは常にアクションなのだ、と思い直す。
具体的な行動を起こすことが、もっとも難しいのです。
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